宇宙飛行士を目指してずっと努力してきたものの、生まれつき目が悪く、先日その状態が手術不可能なほど悪いことが判明しました。これを聞いたときはショックで頭が真っ白になって、今まで積み上げたものが全て崩れ落ちていくような気がして、悔しくて、なんで自分がこんなことにという行き場のない思いでいっぱいでした。

でも今は、こんな時でも味方でいてくれて、支えてくれた家族と友人のおかげで、どうしたらいいのかはまだ全く分からないですが、少なくとも、この経験が美談になるぐらいの、絵に描いたようなサクセスストーリーを生きてやろうと思えています。

今知れて良かったし、積み上げてきたものは変わらないし、夢の叶え方は一通りではないはずなので、この悔しさを心に深く刻んで、もう一回自分の人生を見つめ直します。漫画の主人公って絶対どこかで挫折してますもんね、こんなことで諦めるのは今まで頑張ってきた自分に申し訳なさすぎる!


せっかくなので、挫折ついでに博士課程の第二関門、Candidacy Examについて紹介します。

Candidacy Examとは?

アメリカの大学の博士号取得には、呼び方は大学により異なりますが、突破すべき以下の3つの関門があります。

  1. Qualifying Examination
  2. Candidacy Examination
    • 博士課程で取り組む研究課題とそれに対する手法が、Caltechの博士号を授与するにふさわしい、意義深く革新的なものであるかを問う
  3. Defense
    • 実際にCandidacyで提示した研究課題が解決されているかを問う(Defenseという名前は教授陣からの鋭い質問に耐えて自分の研究成果を守りきる的な由来だと思っています、かっこいい)

今年の10/13に晴れてCandidacyを突破したので、その内容を忘れないうちにまとめました。

試験官選び

Caltech Aerospaceでは、Candidacy Examには4人の試験官が必要なため、まずはそれを引き受けていただける先生を探すところから始まります。最終関門のDefenseの試験官も同じメンバーにお願いするのが一般的であり、かつアメリカ永住権申請の際の推薦状も彼らに執筆していただくことが多いです。僕の場合は、航空宇宙工学専攻で制御工学を専門としているので、Aerospace専攻から2人、Control+Dynamical Systems専攻から2人試験官を探すことにしました。もちろん Caltech の教授の方々は非常に忙しく、いきなりメールでお願いしてもスルーされることも多いのですが、これまでに取った授業でのつながりや、自分の研究テーマとお願いする先生方の研究の興味をうまいことこじつけて、最強の4人の教授

  • Prof. Soon-Jo Chung(指導教員:サボ)
  • Prof. Daniel Meiron(数値流体力学の大御所:五老星の真ん中の人)
  • Prof. Richard Murray(制御工学の大御所:青キジ)
  • Prof. John Doyle(制御工学の大御所:白ひげ)

に引き受けてもらえることになりました(僕は幼少期のルフィです)。

試験内容

試験の内容は比較的シンプルで、必要なものは以下の2つです。

  1. 2ページの研究計画書
  2. 20分の研究計画プレゼンと40分の口頭試問

1では、研究背景、課題、手法、先行研究、今後取り組む研究、その結果としての分野への貢献についての自分のアイディアを、自分の言葉で2ページにまとめます。ちなみに、論文を書くのとは異なり、このフェーズでは学生の研究に対する主体性が重んじられるため、指導教員からのアドバイスはあまり得られません。ロボットが自律的に、人間のように知的に、最適かつ安定な行動選択するための制御理論を開発することを通して、宇宙へと人類の生存圏を広げる、という僕の留学当初の目標を、研究成果が少しづつ出始めた今、改めてより専門的な視点で見つめ直す非常に良いきっかけとはなりましたが、ちょうどこの時期に論文を2つ再投稿しなければならなかったので、正直かなりしんどかったです。


2では、最初の20分間で自分が取り組む研究課題の重要性、そして研究手法のエレガントさ、妥当性について出来るだけ詳細にかつ分かりやすくアピールし、その後の40分間では、試験官の方々からの大量の鋭い質問に答え続けます。出来るだけ論理に欠陥がないよう準備はしたのですが、これだけ高名な教授の方々が揃えば、答えることができない質問が出る可能性も大いにあると思ったので、その場合には正直に、歯を食いしばって、わかりません&後で考えますと答えることだけは事前に決めていました。残念ながら John Doyle 先生のクリティカルな質問に対して一度だけこの回答をすることになり、悔しい思いはしましたが、研究のアイディア自体はとても面白いとコメントしていただき、なんとかその場で合格させてもらえました。あとは Defense、もう一度気を引き締めます!

1件のコメント

  1. 塚本さん、はじめまして。夢があるからこそ、目標があるからこそ、希望があり、絶望があるということですね。なんだか自分のことのように悔しくて、涙が出てきました。ですが、書いておられるとおり、塚本さんの今までが否定されたわけではありません。そしてこれからもそうです、誰かが塚本さんの夢を決めるわけではありません。夢を諦めずに突き進んでください。

    藤森嵩人
    1. 熱いコメントありがとうございます。藤森さんがどのような状況にあるのかはわかりかねますが、何にせよ挑戦されていることがうまく行くようお祈りしております。

      astrohiro

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