ついに、カリフォルニア工科大学博士課程卒業です。
なんと、Caltech宇宙工学専攻の首席（The William F. Ballhaus Prize・最優秀博士論文賞）でした。
Caltech宇宙工学専攻首席（最優秀博士論文）で卒業しました！嬉しい！！！https://t.co/0alYg9yMYx pic.twitter.com/1SO3fUvRGo
— Hiroyasu Tsukamoto (@Hiro_Tsukamoto) July 1, 2023
Caltechの博士になる人生トップレベルで嬉しい瞬間に、このサプライズ発表＆賞金が重なって最高に幸せでした。本当に素晴らしい研究者の方々、環境に恵まれ、家族、友人、たくさんの方に支えられ、身に余る光栄です。
ということで、この記事はアメリカの卒業式についてです。ちなみにアメリカの卒業式には、“始まり”を意味するCommencementという単語が使われます。
卒業は終わりではなく、新たな挑戦、人生第2章の始まりであるという思いが込められています、素敵。
写真撮影
アメリカの博士課程では、一般的には卒業のタイミングが特に決まっていないため、就職のタイミングや研究資金の切れ目等を考慮しつつ、学生は好きな時期に卒業することができます。今年2023年6月の卒業式は、2022年6月から2023年5月の間にDefenseと呼ばれる最終試験を突破した学生が対象で、その中にはすでにがっつり働いている人も、僕のように最近やっとDefenseを終えた人もいます。
したがって卒業式は成人式とか同窓会みたいな雰囲気でワイワイしながら、まずはみんなで記念写真を撮ることから始まります。
約6年間の日常の中で当たり前のように接していた友人達が、それぞれ学術界の様々な領域で活躍し始めると思うととても楽しみです。
Processional
そして、午前10時より、Class of 2023卒業生の入場です。Bachelor of Science（学士号）、Master of Science（修士号）、Engineer、Doctor of Philosophy（博士号）の順に入場し、卒業式に参列、列席した家族、友人、教授陣、ゲストの方々に祝福されながら指定された席まで向かいます。
名前順で偶然隣になった友人2人も、今年からCMU・Georgia Techでそれぞれ教授になる予定で、ついにこの瞬間を迎えとても誇らしい気持ちでした。
Commencement Speech
続いてはYouTubeでよく見る、有名な人のスピーチです。
スピーカーは毎年変わるのですが、今年はDanielle Allenという方です。
以下スピーチの一部を引用します。
Caltechで長い時間をかけ手に入れた専門知識、経験、技術、知見を最大限に活用し、各分野のリーダーとして、人類文明の繁栄、民主主義の刷新のためにその権力を行使して欲しい、という強い願いが込められています。
I am here today to invite you to serve, to issue you a call of service.
You are graduating into the age of AI, possibly into the age of AGI (Artificial General Intelligence)… so I am here to ask you today to wield your power for the sake of human flourishing.
I hope when historians look back at this age, they will say
“It was the age of democracy renovation, and the Caltech class of 2023 dit it, the class of 2023 let it, not the machines, the class of 2023. They lent their talents to the cause of humanity. They were true leaders.”
Congratulations, class of 2023.
Conferring of Degrees
以下の言葉を皮切りに、博士号の授与が始まります。
By the authority vested in me, I confer upon you the degree of Ph.D. and admit you to all its rights, privileges, and responsibilities. I welcome you to the company of scholars.
要約すると、まさに “with great power comes great responsibility” です。
思い出しただけで泣きそう、Spider-Man: No Way Homeまだ見てない人いたらごめんなさい。
最近MCU（Marvel Cinematic Universe）とSSU（Sony’s Spider-Man Universe）の映画クオリティー最高すぎないですか。Spider-Man: Across the Spider-VerseもGuardians of the Galaxy Vol. 3も予想はるかに超えてきましたね震える
話を戻すと、名前を呼ばれて、博士用のフードをかけてもらって、帽子のひもを右から左に移して、晴れて博士です。なんかこういうフォーマルなプロセス海外の卒業式って感じで好きです。
下のYouTubeでその様子はすべて公開されています。
Ceremony begins at 20:42. Caltech’s 129th annual Commencement ceremony was broadcast live from Pasadena, CA, on June 16, 2023. Danielle Allen, James Bryant Conant University Professor and director of the Edmond and Lily Safra Center for Ethics at Harvard University, delivered the keynote address. 20:42 – Processional 36:40 – Opening Remarks, David W.
後ろの方で叫んでくれた家族と友達の声が入ってる感動！ありがとう！
今年は、617人が卒業し、そのうち学士号233人、修士号155人、Engineer’s Degree1人、博士号228人だったそうです。
Concluding Remarks
最後は学長Thomas F. Rosenbaumの祝辞です。
You are fearless, you have mastered the ability to frame problems no matter how difficult they are.
Every question possesses a power that does not lie in the answer.
No matter which direction your travels take in the global society, you will be prepared to find the true north.
I wish you wholeness and magic on your journey forward.
Magicって表現を使うセンスがワクワクしてすごく良い。
Caltechの校訓は “the truth shall set you free”です。
あらゆる物事の真実とその先で得られる自由に向かって、いかにそれが難しくとも、自ら問題を定義し、正しい方向を見つけ進み続けること、それがCaltechの卒業生の持つ権利でありかつ責任であるというメッセージです。
Caltechの宇宙工学科博士課程の首席というこの上ない名誉に恥じぬよう、これからも頑張ります。
Taka Mark Kasuya
このブログにも一部載せたとってもクオリティーの高い卒業写真は、ArtCenter College of Designを卒業し現在写真家として活躍されている、Taka Mark Kasuyaさんに撮っていただきました。
お忙しい中ありがとうございました、おかげさまで最高の思い出になりました。
コメント失礼します。ご卒業おめでとうございます！以前からこのブログは読ませていただいてましたが首席の凄さに思わずコメントしてしまいました。私は現在日本の大学に在学しており(修士1年生)、卒業後はcaltechに進学しいつかはJPLで働きたいと考えています。なのでまさに憧れの存在でブログも参考にさせていただいてます。留学準備の記事も読みましたが出願に関してよりcaltechに特化したアドバイス等あれば教えていただけると幸いです。長くなりましたが重ね重ね卒業&首席おめでとうございます！
ありがとうございます！
コメント失礼します。僕は現在高校2年生で、JAXA,NASAといった宇宙関係の職場への就職を目指しています。そのために、大学は塚本さんと同じ、京都大学の物理工学科への進学を考えています。そこで質問なのですが、航空宇宙工学コースと、機会システム学コースとではどちらが就職後に役立つのでしょうか。また、航空宇宙工学科について調べていくなかで、航空宇宙工学を学ぶのなら京都大学よりも名古屋大学や東北大学の方が適しているという意見も目にします。京都大学の物理工学科は、航空宇宙工学に弱いのでしょうか。同学科出身の塚本さんにお聞きしたいです。
記事とは関係のないコメントで申し訳ないです。
ご返信頂けると幸いです。