アメリカ大学院留学記

カリフォルニア工科大学(Caltech)で博士を目指す
アメリカ大学院留学記

大学院留学準備

アメリカの大学院に出願する上で、必要な情報、必要な書類の説明などをまと...

アメリカ大学院での生活

アメリカの大学院での生活が実際どんなものなのかをまとめたページです。半...

アウトリーチ活動

アウトリーチ活動のまとめページです。 Follow @Hiro_Tsu...

はじめまして、カリフォルニア工科大学の塚本紘康です。

最近のニュース

 

世界の凄い奴に会いに博士留学!【インタビュー動画】

 

夢を叶えるためにアメリカへ!米国大学院生活って?【1日密着動画】

現在カリフォルニア工科大学(Caltech:カルテック)で、Bren Professor of Aerospace & NASA Jet Propulsion Laboratory Research ScientistのProf. Soon-Jo Chungの下、博士号取得を目指している大学院生です。京都大学を卒業し、大学院からCaltechに進学しました。

大学院留学は、選択肢としてあまり知られていないだけで実際は意外と簡単にできるということと、そしてその割には得るものが非常に大きいということを伝えて、軽い気持ちで後先考えずにアメリカにくる日本人が増えてほしいという気持ちではじめました。大学院留学準備についてはこちらを、留学後の生活についてはこちらをご覧ください。

このページのもくじ

1. 大学紹介

知られざる名門大学

カリフォルニア工科大学(Caltech)というと日本ではあまり馴染みがない名前かもしれませんが、NASA(アメリカ航空宇宙局)のジェット推進研究所(通称JPL)を有し、実はタイムズ・ハイヤーエデュケーションが毎年発表する世界大学ランキングでは常にトップ争いをしている隠れ名門大学なんです。過去5年の成績はここからアクセスできます。また、僕の所属している航空宇宙工学専攻(GALCIT)は、毎年全米の航空宇宙工学専攻のランキングで常にTOP3(今年は1位!)にランクインしています。キャンパスはロサンゼルス近郊のパサデナという準高級住宅街の一角に位置します。

少数精鋭

この大学の大きな特徴は、何と言っても学生数が2000人程度と非常に少ないことです。これは日本の国立大学の1学年にも満たない数ですが、それによってより多くの時間とお金を1人の学生、1つの研究に投資し、ユニークな技術革新を生み出し続けています。2017年大きな話題となった重力波の検出によるノーベル賞を獲得したのもカリフォルニア工科大学です。

学生数が少ないので、学生同士を競わせることによって教育の質を維持するアメリカの多くの大学とは異なり、教育の質は学生の自主性によって保たれている部分が多く、のんびりと比較的自由に勉強・研究に取り組める世界でも類を見ない大学です。詳しくはこちら


2. 研究紹介

機械の脳ミソをデザインする!

僕の専門は、航空宇宙工学の中でも特に Control Theory、日本語では制御理論・制御工学と呼ばれるものです。名前からは想像がつきにくいと思うので、めちゃくちゃわかりやすく言うと、制御工学とは、宇宙機、ロボット、今流行りの自動運転車、などなど様々なハードウェアに命を吹き込み、設計者の思い通りに動かすための理論的な枠組みです。最近はいろんな意味で使われていて定義が曖昧ですが、AI・人工知能の開発にも必要不可欠な学問です。

機械の脳ミソをデザインする=理論構築+ソフトウェア開発

もう少し具体的に言うと、ハードウェアに命を吹き込み、思い通りに動かすための理論的な枠組みの開発には、以下の 2つのフェーズがあります。

制御工学の2つのフェーズ
  1. 対象の機械を思い通りにコントロールするための理論構築:簡単に言えば数学
  2. 機械に実装するためのソフトウェア開発:いわゆるコーディング

この2つがそろってはじめて、宇宙機、ロボット、自動運転車などの機械が自分の思い通りに動かせるようになるのです!

かるーく研究紹介

工学で対象とするものの運動は全て、近似的には意外とシンプルな数式(非線型確率運動方程式)に従っています。しかし、その運動を思い通りにコントロールするための一般的かつ実用的な理論の枠組みは見つかっていません。したがって、

やりたいことリスト
  1. 全ての機械の運動をコントロールする理論的な枠組みを構築し、
  2. 人間の手助けなしに複数の宇宙機が自律的に行動して宇宙ミッションを達成できるようになることで、
  3. 宇宙を征服する

のが研究目標です。もっとちゃんとした説明は研究室のサイトとか船井奨学金の報告書とかにあります。


3. 大学院留学の動機

短くまとめると、人と違う経験がしたかったからです。真面目な理由もいちおう書いてみました。

宇宙に行くことは難しいのか

そもそも、飛行機がない時代は、鉄の塊に大量に人を乗せて空を飛ぶという考えなんてばかげた考えだと思われただろうし、スカイプがない時代は、地球の反対側にいる人とほとんどタイムラグなく会話できるなんて夢みたいな話だったはずです。にもかかわらず、飛行機もスカイプも当たり前のように今の時代に存在し、人々が当たり前のようにそれら科学技術がもたらしたメリットを享受していることを考えると、当たり前のように夜空に輝く月に辿り着いた人間はほんの一握りで、火星やその他の惑星・それらの衛星に至っては、この長い人類の歴史の中でまだ誰も足を踏み入れていないという事実は、とても不思議で、非常にもったいないことのように感じてしまいます。

宇宙開発をすることの意義

海外旅行や短期留学を経て、いかに今までの自分の住んでいた世界、持っていた価値観が狭かったか、いかに日本という国が素晴らしいかを実感するのはよくある話ですが、同じように、火星に誰もが行くことが可能なら、宇宙の中の一惑星として地球を見ることで、いかに地球を取り囲む宇宙という空間は広大で、謎と神秘にあふれているか、あるいは地球とは対照的な荒れ果てた惑星に身を置くことで、地球という惑星がいかに美しく特別であるかを、多くの人々が自分自身の感覚として理解できるはずです。

もちろんその意義については賛否両論あると思いますし、こういう人類のロマンみたいな話に大量の研究費を費やすこと抵抗がある人は多くいると思いますが、それよりもむしろ、未知の領域を開拓するという行為、未知の領域の無限の可能性を想像し純粋な知的好奇心に従って行動をとることこそが、大域的には人類の本能、人間が人間たる所以であり、人類文明の根幹を成すものであると考えています。最終的には、スターウォーズとかマーベルの世界のように、宇宙の各地に生命が存在し、数ある人類が1つの惑星ではなく銀河系全体を居住圏としている世界に住みたいと思っています。

留学の動機

したがって僕の目標は、宇宙へと人類の生存圏を広げることです。僕がアメリカ大学院留学を志したのは、単純な理由で、宇宙へあこがれを抱くきっかけだったスペースシャトルを生み出したNASAを有し、宇宙工学全般において世界的に最先端の研究を行っている研究機関が多数存在し、近年ではSpaceXが再利用ロケットを開発するなど、産業としての宇宙開発の基盤も形成されつつあるアメリカという国で勉強、研究し、Ph.D.(博士号)を取得することが、この目標を達成する上で一番の近道であると思ったからです。

ただの自己満足で書いたブログですが、これを見て留学に踏み切ったと言ってくれる人に会えるまでは続けます!