という3つのオファーを頂き、悩んだ結果Assistant ProfessorとしてUIUC Aerospaceに行くことに決めました。
Caltechの世界トップレベルの研究環境で、渡米する前は考えもしなかったような成功や挫折を経験し、自分の能力が世界に認められ新しい技術が生まれる喜びを感じると同時に、自分1人ではどうにもならないことがこの世には数多くあり、共に歩んでくれる同僚、友人、家族の存在がいかに大切であるかを痛感する日々でした。
また、船井情報科学振興財団、本庄国際奨学財団からのご支援なしにはここまで来ることは不可能でした。
仕事でもプライベートでも、僕と何かの形で関わって、良い影響を与えてくれたすべての方々に、この場を借りて感謝したいと思います。本当にありがとうございました。遂に掴み取った理想の研究環境で、少しでも恩返しができるよう精一杯精進したいと思います。
次のステージでも一切妥協せずやりたいことをやり続けます!
この記事では、一般的なアメリカ大学院生の就活事情についてお話しします。アメリカの大学教授の選考プロセスはこちらの記事、アメリカの宇宙工学トップスクールで教授になるにはをご覧ください。
米大学院生の就活
アメリカ工学系の大学院生が仕事を見つける方法は、典型的には3つあります。●のリストは実際に僕がオファー、もしくは連絡を頂いたものです。
- リクルーターからの連絡、主にLinkedIn
- コネクション、共同研究、インターンなど
- NASA JPLエンジニア
- 京大航空宇宙工学専攻助教
- 自力で仕事を見つけて応募
- アメリカの大学の教授(UIUC Aerospace)
この記事では、1 — 3を使って就活をした僕の体験談を紹介します。
リクルーターからの連絡
LinkedInで連絡が来た中で、アメリカのインダストリーの雰囲気を見てみたいとの思いもあり唯一Tesla Botを受けてみて、結局断りましたが最終面接まで至ったので、言える範囲で少しだけ情報公開します。採用までの流れは
- リクルーターとのカジュアルな面接1
- C++ & Pythonでのコーディングの試験(解答時間は4から6時間)
- Teslaが充電を切らさずに、ランダムに与えられた全米のTesla Supercharging Stationsの間を移動する際の最短経路を計算するアルゴリズムの開発
- C++ & Pythonでのスピードコーディングの試験(30分から1時間)
- 応用数学の基礎的な問題を解いてその場でコーディング
- リクルーターとのカジュアルな面接2
- Tesla Bot Engineers & Tesla Autopilot Engineersとの面接(1時間、online)
- On-site interview(1時間、最終面接)
1から5までは2022年なのですが、結局最終面接のメールが来たのは1年後の今年2023年でした。もちろん内容的にも金銭的にも魅力的な仕事ではありますが、Tesla Botでは自分の名前で論文を出すことは基本的には難しいこと、彼らのビジョンが自分のやりたいことと少しずれることがお断りした理由です。
コネクション
非常にありがたいことに、京都大学在籍時の指導教員の先生、Caltechでの共同研究を通じてNASA JPLの元CTOの方より、それぞれ助教、エンジニアとしてのオファーを頂いていました。どちらも大変光栄なオファーなので、進路を決めた今も少し心残りはありますが、UIUC Aerospaceの研究資金、設備、方針が僕の将来の展望の実現を強くサポートするものであり、強い主導権を持ってアメリカで研究室主宰者・PIとして主体的に研究を行うことを重視した結果です。
頂いたオファーは全て素晴らしいものであることは間違いなく、こういった機会を与えてくださったことには本当に心から感謝しております。京大の指導教員の先生には、大学院留学時のサポートだけでなく、学部から色々な面で大変お世話になっていて、頭が上がりません、、
教授のポジションを探している際にNASA JPLのポジションがあったことも、精神的に非常にありがたかったです。
NASA Jet Propulsion Laboratory (JPL) – Robotic Space Exploration
Space mission and science news, images and videos from NASA’s Jet Propulsion Laboratory, the leading center for robotic exploration of the solar system.
自力で仕事を見つけて応募
結局自分が最もやりたいことをするには、自分で道を切り開くしかなく、考え続けた結果、米国で教授として、宇宙を目指す研究者として主導権を持って研究を進めることが、目標の実現と自分の性格を踏まえると最善であると今は確信しています。
詳しい採用プロセスはこちらの記事、アメリカのトップスクールで教授になるには、にまとめてあります。その職務内容の一部をリストすると
- 1年目にstart-up fundingと呼ばれる$100,000から$1,000,000程度の研究資金が支給され、研究室主宰者として、研究の方針と結果に関する最終決定権を持ち、その責任を負う
- 継続的に研究を進めるための資金を集める
- 専門分野に関する教育、学生・ポスドク・研究員の指導を行う
- Diversity・Equity・Inclusion(DEI)の推進に貢献する
- 大学・地域コミュニティー・社会の維持と発展に様々なレベルで貢献する
というわけで面接では、相手の求めているものに合わせるというよりは、自分のやりたいことの素晴らしさと実力を全面に押し出してそれを相手に求めさせるという強い主導権も評価されます、たぶん。ちなみに、アメリカのAssitant Professorと助教は中身が違いすぎるので、本当は助教と呼ぶのは正しくないのかも。
目標や自分の性格が、これらの職務内容とどう合致するかは少しパーソナルな話なのでここでは秘密にしておきます。僕が感銘を受けた、UIUC Aerospace学科長の言葉からなんとなく伝わると嬉しいです。
“The only goal of our department is to support the future visions of our faculties in whatever fields under one condition — that you must be at the top of your field in the world”
一流の環境、頭脳、マインドセット、これらが揃う場所で新しいチャレンジができること、とても楽しみにしています。改めて、ここまで僕の人生を豊かに彩ってくれたすべての人に感謝しています。くそお世話になりました!!!