そもそも、飛行機がない時代は、鉄の塊に大量に人を乗せて空を飛ぶという考えなんてばかげた考えだと思われただろうし、スカイプがない時代は、地球の反対側にいる人とほとんどタイムラグなく会話できるなんて夢みたいな話だったはずです。にもかかわらず、飛行機もスカイプも当たり前のように今の時代に存在し、人々が当たり前のようにそれら科学技術がもたらしたメリットを享受していることを考えると、当たり前のように夜空に輝く月に辿り着いた人間はほんの一握りで、火星やその他の惑星・それらの衛星に至っては、この長い人類の歴史の中でまだ誰も足を踏み入れていないという事実は、とても不思議で、非常にもったいないことのように感じてしまいます。

海外旅行や短期留学を経て、いかに今までの自分の住んでいた世界、持っていた価値観が狭かったか、いかに日本という国が素晴らしいかを実感するのはよくある話ですが、同じように、火星に誰もが行くことが可能なら、宇宙の中の一惑星として地球を見ることで、いかに地球を取り囲む宇宙という空間は広大で、謎と神秘にあふれているか、あるいは地球とは対照的な荒れ果てた惑星に身を置くことで、地球という惑星がいかに美しく特別であるかを、多くの人々が自分自身の感覚として理解できるはずです。

もちろんその意義については賛否両論あると思いますし、こういう人類のロマンみたいな話に大量の研究費を費やすこと抵抗がある人は多くいると思いますが、僕はむしろ、未知の領域を開拓するという行為、未知の領域の無限の可能性を想像し純粋な知的好奇心に従って行動をとることこそが、大域的には人類の本能、人間が人間たる所以であり、人類文明の根幹を成すものであると考えています。最終的には、スターウォーズとかマーベルの世界のように、宇宙の各地に生命が存在し、数ある人類が1つの惑星ではなく銀河系全体を居住圏としている世界に住みたいと思っています。

したがって当面の目標は、宇宙へと人類の生存圏を広げることです。僕がアメリカ大学院留学を志したのは、単純な理由で、宇宙へあこがれを抱くきっかけだったスペースシャトルを生み出したNASAを有し、宇宙工学全般において世界的に最先端の研究を行っている研究機関が多数存在し、近年ではSpaceXが再利用ロケットを開発するなど、産業としての宇宙開発の基盤も形成されつつあるアメリカという国で勉強、研究し、Ph.D.を取得することが、この目標を達成する上で一番の近道であると思ったからです。

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